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【コロナ太り解消!】運動で本当に痩せられるの!?

円山整形外科病院リハビリテーション科 理学療法士の近藤です。
新型コロナウイルスの流行に伴い、外出自粛や在宅勤務が増え、最近は「コロナ太り」という言葉を耳にすることが多くなりましたね。
かくいう私も、だんだんとお腹周りが気になり始め、コロナ太りに悩まされているうちの一人となってしまいました。
今回は当ブログをご覧の皆さまのためにも(自分のためにも)、正しいダイエットに関する科学的な知見を整理しましたので、その一部をご紹介したいと思います。

–運動だけでは痩せられない!?–
80件の研究の結果を統合した論文(1) によると、①食事制限、②食事制限と運動の併用 は体重減少に効果的であったことが示されています。一方で、③運動のみ(食事制限なし) では体重減少の効果が認められませんでした。
これは運動が体重減少に対して限定的な効果しかないことを意味しています。
では、なぜ運動の効果が限定的なのか?
それは、人間の消費カロリーの多くは基礎代謝(活動をせずにじっとしていても消費されるエネルギー)であり、運動によって消費されるのは全体の10〜30%にしか過ぎないため、身体活動量を増やしても消費カロリーはあまり増えないからと言われています。
運動の専門家としては是非とも、運動をして痩せましょう!と言いたいところなのですが、科学的な知見はそうではありません。
もし運動だけで痩せようとする場合には、1日60分以上の運動が必要であることが米国スポーツ医学会と米国糖尿病学会によって共同声明(2)が出されています。
なかなか忙しい日々の中でそれだけの時間を作ることや、モチベーションを維持することは現実的には難しいことも多いかと思います。
したがって、ダイエットを効率的かつ効果的に行うためには、食事を工夫する必要性が高いということがいえますね。
次回は、どのように食事を工夫するべきか?カロリーの量ではなく質にこだわるべき? について解説していきたいと思います。
※運動自体には痛みを減らす効果や、筋力向上および歩行能力向上、心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らす効果など、健康にとってはさまざまな良い効果がありますので、日頃から運動をするという習慣は是非とも続けていただけますと幸いです。

参考文献
1) Marion J Franz et al. Weight-loss outcomes: a systematic review and meta-analysis of weight-loss clinical trials with a minimum 1-year follow-up. J Am Diet Assoc. 2007.
2) S. Colberg et al. The American College of Sports Medicine and the American Diabetes Association: joint position statement. Diabetes Care. 2010.

近藤 湧