脊椎脊髄病センター
センター長挨拶
当院では、より高度な医療を求める患者さんのニーズに応えるべく、脊椎脊髄病センターを開設いたしました。専門性、先進性、安全性が要求される脊椎脊髄疾患に対し、日本脊椎脊髄病学会指導医の資格を有する3名の医師が、高いレベルでの診断と治療を担っております。
担当医師は、昨年まで札幌医大整形外科の准教授であり、現在は同大学の臨床教授でもある竹林院長、2015年に米国Oregon Health and Science University, Spine Center留学から帰国された小熊副院長、日本脊椎脊髄病学会指導医ならびに日本骨粗鬆症学会認定医である阿部診療部長が担当しています。
当センターでは、手術治療だけでなく、現在受けられている治療にお悩みの方や、複雑な病態を理解していただくためのセカンドオピニオン、薬物治療や理学療法を含めた外来治療も多く行っております。脊椎疾患に関してのお悩みについては、我々が誠意をもって対応し適切な治療を行わせていただきます。いつでもお気軽に当院外来へお越しください。
2017年6月1日
脊椎脊髄病センター
センター長 小熊 大士(おぐま ひろし)
低侵襲で安全性を重視した腰椎手術
当院では手術用顕微鏡を用いて、ほぼすべての脊椎手術を行っております。3次元的に明るく拡大された視野が得られることにより、安全でかつ神経に愛護的な手術が可能となっております。
以下に主に当院で行なっている代表的な疾患に対する手術治療について紹介します。
腰椎椎間板ヘルニア
顕微鏡下ヘルニア摘出術
背中を1.5~2.0cmほど切開して専用の器械(写真の筒です)を挿入します。手術用顕微鏡を使って椎間板ヘルニアを摘出します。入院期間は1〜2週間程度です。
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
手術治療とは異なる新たな治療法です。当院では、レントゲン室で局所麻酔下で行なっています。
椎間板の中に酵素を含んだ薬剤を直接注入して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。
注射後のアレルギー反応の有無を確認するために、1泊2日の入院で行っています。
ヘルニアの形態によって適応とならない場合があります。
過去にヘルニコア治療を受けられた方は、行うことができません。
腰部脊柱管狭窄症(腰椎変性すべり症)
顕微鏡下棘突起縦割脊柱管除圧術
背中を3cm切開し、手術用顕微鏡を用いて神経の圧迫を取り除きます。 術後翌日からコルセットを着用し自由行動です。入院期間は1~2週間程度です。
低侵襲腰椎固定術(MIS- TLIF)
腰部の筋肉を可能な限り温存すべく、手術用顕微鏡ならびにレントゲン透視装置を駆使して神経の圧迫を取り除き、安定した腰椎を再建します。手術の低侵襲化により高齢者の方にも対応が可能です。当院での最高齢は90歳の方です。入院期間は2週間程度です。
高度な技術を駆使した頸椎手術
当院は、他の脊椎脊髄専門病院に比べて、頸椎疾患に対する手術の割合が高いです。頸椎は脳と連続した脊髄の手術ですので、高度な技術が要求されます。
頚椎症(脊髄症、神経根症)
顕微鏡下選択的椎弓形成術
手術用顕微鏡を用いて、頭を支える大切な首の筋肉のダメージを最小限に抑え、脊髄や神経根の圧迫を解除します。入院期間は1~2週間程度です。症例によっては、人工骨を用いた脊柱管拡大術を行うこともあります。
顕微鏡下頚椎前方除圧固定術
頸椎での脊髄・神経の圧迫を、前方から解除する手術です。術後翌日より歩行が可能で、入院期間は1~2週間程度です。
脊髄腫瘍・上位頚椎疾患
麻痺等のリスクが高く、道内でもわずかの施設でしか行われていない脊髄腫瘍や上位頸椎疾患(環軸椎亜脱臼など)にも対応しております。このような高度な手術技術を要する症例に対しては、竹林院長を中心に当院で積極的に行っております。
骨粗鬆症に起因した脊椎手術
脊椎圧迫骨折
経皮的椎体形成術(BKP: Balloon Kyphoplasty)
高齢者に多くみられる骨粗鬆症に関連した圧迫骨折(転倒などで背骨が潰れる骨折)に対しては、40分ほど全身麻酔で眠っていただいている間に、潰れた骨に骨セメントを注入し元の形に復元する椎体形成術を行っております。手術を行なった日の夕方から、自由行動を許可しています。最近では90歳以上の方でも治療を受けられております。
脊柱変形
学童期側弯症
側弯症矯正固定術
学童期側弯症に関しては、脊椎脊髄病指導医の資格を有した複数の医師が同時に手術に参加することにより、手術時間の短縮、出血量の低減が可能となり、より安全な手術が行えています。竹林院長は、これまで多くの側弯症手術の経験があり、道内から多くの患者様が治療の相談に来られています。
成人脊柱変形
前方進入脊椎椎体間固定術(XLIF: eXtreme Lateral Inetrbody Fusion)
国内では比較的新しい術式で、変形した脊柱を矯正し安定化させるのに優れた方法です。体の側方から手術を行うことで、手術による背中の筋肉のダメージを最小限にできる低侵襲な手術手技です。腰椎すべり症や腰部脊柱管狭窄症にも応用されております。小熊副院長が中心となって当院へ導入されております。